畜 産 秋 田


              2003. 2                    No.202


 

     平成15年2月発行

         編集兼発行 秋田県畜産試験場

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死亡牛の牛海綿状脳症(BSE)検査体制について


 BSE関連の対策が進められる中、本年7月4日にBSE対策特別措置法が施行され、死亡した牛の届出義務が規定されました。

 平成15年4月から24か月齢以上の死亡牛に対するBSE検査が、家畜伝染病予防法の規定に基づき義務づけられていることから、死亡牛の処理及びBSE検査の概要を紹介します。

死亡牛の運搬

死亡牛の所有者は、BSE検査の材料を採取する冷蔵保管施設(現在、森吉町及び神岡町に建築中)に運び入れます。

BSE検査

獣医師により採取された検査材料は、中央家畜保健衛生所(秋田市)で、スクリーニング検査(エライザ法)が行われます。

(1)陽性時の対応

(独)動物衛生研究所で確認検査が行われ、BSEと確定診断された場合、当該死体は家畜保健衛生所で焼却し、法に基づく防疫措置を行います。

(2)陰性時の処理

 青森県の化製処理施設に搬出して、適正な処理を推進します。


【死亡牛の処理及びBSE検査の流れ】


 死亡牛のBSE検査により発生状況や動向を把握し、本県における安全評価並びにBSEに対する不安の払拭に努めてまいりますので、畜産農家皆さまの御協力をお願い申し上げます。


「宮桜」娘牛への交配種雄牛系統別産肉成績


≪目的≫

 肥育素牛生産で交配する種雄牛を選ぶ場合、種雄牛及び繁殖雌牛の系統が持つ能力を把握し交配を行うことが必要。

 そこで、県内で頭数の割合が高い繁殖雌牛の系統における交配指針作成のため、各系統の種雄牛との交配で、その産子の産肉成績にどのような傾向がみられるのかを調査した。


≪宮桜の娘牛について≫

図−1 市場上場子牛の母方祖父牛及び育種価判明雌牛の割合


 図1の左は、平成13年度から平成14年度に県内の市場に上場された子牛7,600頭の母方祖父牛の割合を示したグラフ。宮桜は全体の15%で2番目に多い。

 右は、現在育種価が判明しているもののうち、供用中とされる繁殖牛の父牛の割合を示したグラフ。宮桜の娘牛は全体の約1/4と育種価判明率が高い。

 以上のことより、宮桜の娘牛に着目。各系統の種雄牛との交配による産子を実際に肥育した場合について試験を行った。


≪肥育試験≫

・種雄牛の系統:谷福土井系及び茂重波系

・頭数:各系統5頭の計10頭

・肥育期間:10ヶ月齢〜32ヶ月齢

・調査項目:肥育前期(10〜14ヶ月齢)、中期(15〜21ヶ月齢)、後期(22〜32ヶ月齢)の増体量、枝肉成績6項目


≪肥育試験の結果≫

 結果を表−1及び表−2に示す。


表−1 肥育試験における各期の増体量


表−2 肥育試験における枝肉成績

・中期の増体量は茂重波系統との交配産子の方が良い傾向

・皮下脂肪厚及び歩留以外では茂重波系統の産子がやや優位。

・実際に産子を肥育した場合に交配種雄牛の系統により肥育成績に違いがあると示唆される。

 そこで、フィールドデータの分析を行った。


≪フィールドデータ分析≫

・対象データ

秋田県内で生産され、平成12〜14年度までに全国で屠畜された宮桜の娘牛産子

・データ数

1,034頭のデータ

・種雄牛の系統

図−2に示す6系統

表−3には各系統の中で頭数の多かった種雄牛を示す。

・調査項目

枝肉成績6項目

・分析方法

最小二乗法による分散分析


図−2 宮桜の娘牛と交配された種雄牛の系統の割合


表−3 各系統で頭数の多かった種雄牛


≪フィールドデータ分析の結果≫

 分析結果から、各枝肉形質について、各種雄牛系統の平均値と全系統の平均値との差を標準偏差で除し、標準化したスケール上に位置づけすることによって、各種雄牛系統との交配による産子の特徴を明確にした。

 これをレーダーチャートにしたものを図−3に示す。


≪各系統との交配について≫

谷福土井系との交配

皮下脂肪の厚さ、歩留で優位。

枝肉重量がやや劣る。

茂重波系との交配

ロース芯面積、BMSで特に優位。

枝肉重量、バラの厚さも優位。

皮下脂肪は厚くなる。

安福系との交配

枝肉重量とバラの厚さで優位。

菊則土井系との交配

歩留、BMSで優位。

枝肉重量がやや劣る。

第7糸桜系及び鈴幸土井系との交配

すべての項目が平均並か、他よりも劣る。


 今回は宮桜の娘牛での分析であるが、今後、県内で頭数が増加する繁殖牛の系統に対しても交配指針を作成していくことを考えている。


図−3 フィールドデータ分析の結果